[未知なもの] 深夜に四っ角な詩をかく 2018 年 4 月 12 日 木曜日

深夜に四っ角な詩をかく

深夜に詩をかく
深夜タク
ワタクシ背をかく
左手で

右手のおやゆび
右手のなかゆび

指を鳴らす
指輪を鳴らす
夜はなかなか鳴らないの

深夜の指先に
深夜の小麦
豚 ホネ 脂
コラーゲン

深夜に羽ばたく昆虫の
羽の脂はよくひかる
羽のうへ乱反射する光
ワタスの心も乱反射

左手のおやゆび捧げても

タクシーはとまらない
ワタクシーはあるきだす
コントラバスという乗物
いつでも乗れるわけじやない
まあいっしょに 歩こうか

ぶんぶんぶん
弓がとぶ
おうちのまわりで
コバラが空いたよ
ぶんぶんぶん
あー
どうしよう


[未知なもの] 詩集 2018 年 4 月 5 日 木曜日

詩集

耳と絵と、眼と音と

詩集は霧に濡れ、
湿り気を帯びていた
海は頁の 隅ずみを、波打たせていった
つまらない音楽が
背の高い 雲のせいで
美しく聴こえた

風が

砂のうえを、吹きぬける
風が私の頬をうつ
眠りから覚めて、青く
眠りから覚めて、風はいつまでも青く

耳と絵と、眼と音と


[未知なもの] 別海 2018 年 4 月 4 日 水曜日

別海

牧草地の奥に
森があり
風はそっちの方から吹いてくる

木々がゆれ
野原がゆれて
まもなく
わたしもゆれている

その草で虫がなき
その枝で鳥がなく
ほんとうに
きみたちは一日それを
やっているのか


この星のうえの襞の集まり

古えびとはここで
虫の声を
聴いていたか

あたらしい人々に
この土地を追われたとき

森よ
そのかなしい戦を
見ていたか

風が羊歯の葉をゆらしていく

やさしく耕されたこの土地で
わたしはどうしてこんなにも
ゆれているのだろう


[未知なもの]  2018 年 4 月 4 日 水曜日

よ空にあきし月の穴 小さき星の穴
われら壺のなかにありて
穴のむこうの光を眺むるもの

夜は昼
内は外


[未知なもの] No.40 マグリット 2011 年 8 月 19 日 金曜日

マグリット

マグリット 
マグネット 

マグカップ 
マグノリア

アア、

クマ ヒグマ マグマ クマ
クマ ヒグマ マグマ クマ

アカマント
アオマント

キマント
シママント

オオ、

クマ ヒグマ マグマ クマ
クマ ヒグマ マグマ クマ

カワラニ クマガ
アラワレタ

カワラヌ クモニ
ミイラレタ

クマ ヒグマ マグマ クマ
クマ ヒグマ マグマ クマ

カゼニ ユレル
モジ

アア、

カナシイノ コトバガ コノハヲ 
ユラス

クウキノ フルエヲ カンジテ 
ユレル

ホドウキョウ カラ
ナガメテ イタラ

マルデ ケシキガ テヲフル
ミタイ

コウツウセイリノ
ヒトモ テヲフル

コノハモ テヲフル

カナシイノ コトバガ コノハヲ 
ユラス

ミンナ、サヨナラ、サヨナラ、
サヨナラ、ト

テヲフル テヲフル
フル フル ユレル

アカマント
キマント
シママント

カゼニ ユレル
テノ ヒラ


[未知なもの] No.39 紅生姜 2011 年 8 月 19 日 金曜日

紅生姜

紅生姜をかきわけ
かきわけ

やっと 空がみえた

なぜか
涙が垂れた


[未知なもの] No.38 静かな夏 2011 年 8 月 19 日 金曜日

静かな夏

静かな夏の

虫の羽ばたき
苔の吐息
鉱物の囁き

焼ける土
草の喘ぎ
水の気配
遠い砂

身体の中で
音が鳴る

ことばが身体を脱け出してゆく

貝殻を拾って
それらが風に羽ばたいていた
静かに風に鳴っていた

その潮騒を
手のひら一杯にまぶして
おにぎりを握ろう

なかに小さな
星粒をいれてね

ここには
いつも風が吹いている

風が身体をすり抜けてゆく


[未知なもの] No.37 Rの朝 2010 年 12 月 7 日 火曜日

蝿が飛ぶ
美しい夜

愛撫しすぎて
壊れてしまった文字を

その人は

懐かしい紙に
包んで捨てた

眩しい

朝の光のなかに

鉛筆の
黄色い削り屑が
積った


[未知なもの] No.36 この秋 2010 年 12 月 7 日 火曜日

11月のまっすぐな道を
しばらく歩いて
考えたけれど

ビスコがビスコである時は
永遠のようでいて
短い

ビスコがビスコであるうちに
食べよう

跳ねる人
 跳ねる人
跳ねる人

ところで

枕が枕であるときは
知っているようで
夢の中だ

夢の中で
ビスコを枕に
小さな私が眠る

眠っているのは
砂の丘

砂の丘で
ビスコを枕に
小さな私は夢を見る

小さな私は
ふるえるように
ビスコの夢を見る

眠っているのは
夢の中

跳ねる人
 跳ねる人
跳ねる人

この秋の

ふるえるような秋の道を
しばらく歩いて
考えたけれど

ビスコがビスコである時は
永遠のようでいて
短い

さあ
私が私であるうちに

食べよう

ビスコ


[未知なもの] No.35 葱の秋 2010 年 10 月 27 日 水曜日

葱を重ねる

意味もなく
葱を

一つ、二つ
二つ、三つ

重なる白の
緑が濃く
深くなりゆく

葱の秋