そのとき、(なぜだろう?)
扉はあいていた
風景は
沈んでは
かすれていった
公園の
小さな空で
掛け軸を水に浮かべて
流れ出してゆく墨を
ただ眺めて
長椅子のように
まっすぐに
膨らんでゆく
パンを
食べて
ぼくらはボールのような形をして
止まっていた。
あるいは、
虹をよむ人も
このどしゃぶりで
もうどこかへ行ってしまったのだろうか?
真夜中に ピアノ線
はりつめた 糸電話
時ふかい 地層から
懐かしく 響く声
しらぬ しらぬ…
窓の外 消えていた
街灯が 点る
家のなかでは
今日という日が
洗面台の湖で
ボートを漕いでいる
帰ろう
知らない街へ
破れた靴下を
ごみ箱のなかからほりだして
葱を刻む
葱を
ただひたすら
葱を
時が刻まれ
時が
葱を刻む
葱を
葱が刻む
時を
ただひたすら
時を
時が刻む
葱を
ただひたすら
葱を
葱が
時を
ただひたすら
葱を
葱を刻む
葱を
ただひたすら
葱を
さあ、もう秋だ
そろそろあいつが
葱を背負ってやってくる
くる、水面
くる、くる、川面
鳥のこえが落ちてくる
くる、くる、うねる、つぶやく、ひかる
風の色、川面
そら、
忘れていた
はねる魚
動かない
緑
川面
くる、くる、水面
どこからか
子供の声も、ほら
くる、くる、くる
くる、くる
雲きれ
ゆれる、ふるえる、またたく、ひかり
くる、くる、水面
くる、くる、川面
道がおいで、といっている
あめあがり
にじかかる
ゆびとゆび
なぜとおい
ことばさえ
にがいきず
かみくだし
はきすてた
わたげ
しらないよ
きみのこと
ぼくのこと
なないろの
にじのなぞ
あめあがり
あるきだす
すなのおか
すべりおり
ゆりかごで
ねむれ
ねむれ
ねむれ