静かな夏
静かな夏の
虫の羽ばたき 苔の吐息 鉱物の囁き
焼ける土 草の喘ぎ 水の気配 遠い砂
身体の中で 音が鳴る
ことばが身体を脱け出してゆく
貝殻を拾って それらが風に羽ばたいていた 静かに風に鳴っていた
その潮騒を 手のひら一杯にまぶして おにぎりを握ろう
なかに小さな 星粒をいれてね
ここには いつも風が吹いている
風が身体をすり抜けてゆく